「何を言うか」より「誰が言うか」

広告制作会社でコピーライターをしていたとき、広告や販促ツールの考え方として、どう言うか(表現)よりも、何を言うか(コンセプト)をまず考えろと学びました。

20年ほど前は、コピーライターというと「表現方法の巧みさ」を重視される方が多かったのです。もちろん上手な表現であることも大事なことなのですが、いくらカッコイイ言葉をつくっても、それが伝えたいことと違っていたら販促ツールとしての目的を達成できません。

ということで、広告や販促ツールは

・顧客となる人はだれか
・どんな目的でツールをつくるのか
・商品のどんな特長、ベネフィットを伝えたいのか
・競合との差別化ポイントはどこにあるのか

などをまず分析してコンセプトをつくってから表現方法を考える、という手順で進めるのがポイントになります。

当時はこの考え方自体に独自性があったんです。ところが最近は、誰もがコンセプトや差別化が大事ということがわかってきているし、世の中には似たようなサービスや商品があふれています。
「何を言うか」「どう言うか」だけでは埋もれてしまうと感じます。それは大企業でも、個人のブログでも同じです。

同じことを書いていても、有名人、より認知されている人、よりファンが多い人が伝えた方が断然伝わります。「インフルエンサー」という職業が成り立つのも、「何を言うか」より「誰が言うか」がものすごく大事になってきているからです。

信頼を集めている「誰か」がおすすめする商品やサービスを消費者は買いたくなるのです。
企業のブログやSNSなど、個人の顔が見えにくいメディアですら、「中の人」のキャラを感じられる方が同じ言葉でも、より伝わってきますよね。

特にフリーランスや個人起業家さんなどは、商品やサービスよりも まずは自分自身を認知してもらうことがとても大事だと思います。

この「誰が言うか」の部分が、ブランディングです。

顧客視点よりも大事なこと

現在のマーケティングでは、「プロダクトアウト」ではなく「マーケットイン」という視点が必要と言われています。「どうしたらお客様に喜んでもらえるか」「どんなメニューをつくれば売れるか」といったことをまず考えます。

私は広告会社に居ましたので、クライアントのアイデアやイメージを形にして喜んでもらうのが仕事ですし、常にクライアントの顧客を意識して仕事をしています。でも、本当にそれでいいのかな?と感じる自分もいます。

特に、自分らしく働きたい、自分が好きなことを仕事にしたい、という志で起業した人は、「マーケティングありきで考える」のは、少し違うのではないかと感じます。
もちろん需要がないと売れませんが、 本当に自分がやりたいことを仕事にするなら、誰が何と言おうと、私はこれが必要だと感じる、私はこれを伝えていきたい、という情熱がまずあることの方が大事ではないでしょうか。

Apple社を創設したスティーブ・ジョブズは、「消費者に何が必要かを聞いてそれを与えるだけではいけない。多くの場合、人は形にして見せてもらうまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」と言っています。

もちろん顧客視点も必要だけれど、潜在ニーズ(顧客自身が気づいていないニーズ)を顕在化することがヒットにつながるというマーケティングの考え方もあります。自分の軸、事業の軸がしっかりしていないうちは、顧客の言いなりになっていると、逆に迷走してしまいます。

全ての人に受け入れてもらうことはできません。まずは自分がやりたい、必要だと考えていること、自分が価値があると感じることをしっかり固めること。もっと自由に自分を表現すること。社会の常識や固定観念でがちがちになった枠を打ち破るには、人のことを考えずに、まず自分の魂の声を聞くことが大切だなと強く感じています。

個性がはっきりすれば、自分自身がブランドになります。
言葉には、その人の波動が乗ります。同じ言葉でも、波動の合う人からの言葉の方が自分に落とし込めるものです。大衆受けを狙って表面的な言葉を発するのではなく、本心からの言葉にこそ、あなた自身のエネルギーが宿り、必要な人に伝わるのです。

皆さんも、マーケティング思考にばかり振り回されず、自分が心からやりたい!と感じることは、まず、そのまま表現してみてはいかがでしょうか。もし売れなくても、時代があなたに追い付いていないだけかもしれません。
(後から微調整すればいいんです!)

他人の視線に縛られず、自由に羽ばたきましょう!

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